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総合内科という視点 〜木を見て森も見る〜

[2025.09.21]

「木を見て森を見ず」という言葉があります。一本の木ばかりに気を取られていると、森全体の姿が見えなくなる、というたとえです。医療の現場でも、よく似たことが起こります。

 

たとえば膝の痛みで整形外科にかかると、「体重を減らしましょう」と言われるかもしれません。膝のためには確かに理にかなっています。けれども、その方が骨粗鬆症や筋肉の衰えを抱えている高齢者だったとしたら、痩せすぎることが転倒や骨折につながる危険性もあります。もともと食事量が少ない方にさらに制限を課すと、体力を削ってしまうかもしれません。

 

薬も同じです。一つ目の病気にはよく効く薬が、二つ目の持病には好ましくないことがあります。副作用に対してまた別の薬が出され、薬がどんどん増えてしまう「ポリファーマシー」は特に高齢の方で問題になっています。

 

総合内科では、「今の症状」だけにとらわれず、「この人全体にとって何が最善か」を考えます。一本の木を診るのはもちろん大切ですが、その木がどんな森に生えているかを見なければ、本当の解決にはつながりません。

 

例えるなら将棋に似ています。目の前の一手を打つだけなら簡単ですが、盤全体を俯瞰していなければ、次の展開で苦しくなります。医師の役割も同じで、短期的に良さそうに見える治療でも、全体を見渡したときに不利になることがあります。総合内科は、その全体像を見ながら一手を考える立場です。

 

私は昔から「なぜ?」「本当にそうなの?」と疑問を持つのが癖でした。医師になってからも、目の前の症状や薬だけでなく、「この人全体を見たときに良いのか?」という視点を欠かさないようにしています。

 

これからは「かかりつけ医を選ぶ時代」です。症状や病気ごとに細かく診てくれる専門医も大切ですが、それらをつなぎ合わせて全体を見てくれる存在が、長い人生を支える大きな力になります。

 

ライカムクリニックは、その「森を見渡す視点」を大切にし、皆さまの健康を総合的に支える診療を行っていきます。

 

複数の症状で迷っている方、薬が増えて不安な方、何科にかかったらよいか分からない方――どうぞお気軽にご相談ください。

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